本物はスゴイ! 32011/08/06 14:00

一会社の社長ともなれば、その自慢の腕前も相当なものです。

私もこの会社に入るまでは全く知らなかったんですが、私たちが普通に買う事の出来るボルト類のネジ部は「転造」と言う手法で作られていて、バウムクーヘンの外周部にネジと同じ山が切ってあって、左右両側からバウムクーヘンで丸棒を挟んでネジを上げると言う方法を使います。この方がネジを速く作る事が出来るんですね。

さて、ネジという物はJISを始めとして様々な規格があり、ネジ山が上がりすぎても上がらなさすぎても製品にはならないんですが、「この界隈では俺が一番や!」と自慢していた御仁、「貸してみぃ!」と手本を見せようとしたんですが、機械が異様な唸り音を発したかと思うと、手に持ったシャフトの先端部にネジが上がっていたんです・・・ハリネズミの様にピンピンに尖ったネジ山が!

「こんなんなってもうたぁ〜」(ヘラヘラ笑いながら)

製品なのにそれで終わり。本人はトンズラこいて、どこかへ行ってしまいましたとさ。どーすんねん、製品!

今度はネジの上がったシャフトを変に曲げてしまったらしく、良く見ないと分からない程度ですが「く」の字型に曲がっていました。本人は自分のミスなので何とか内々に処理しようと、くの字に曲がったシャフトをハンマーでどつき始めました・・・当然、まっすぐになる筈も無く、1ヵ所で済んでいた曲がりが複雑怪奇な曲がりに・・・。あのシャフト、海外の原発向けじゃ無かったかなぁ。中東辺りで原発事故があったらコイツのせいですね、間違いなく。

さらに、円筒形のシャフト曲面に刻印を打たなければならない製品があるんですが、凄い腕をお持ちのその御仁、何を思ったのか普通の平面用の刻印に文字をセット、インパクトの瞬間に曲面に沿って素早く刻印を回すと言う奥義を披露したのです!当然、刻印はハンマーが刻印をどついた瞬間の文字しか刻まれず、どうやっても文字を刻む事はかなわなかったのでした。
因みに、ちゃんと曲面用の刻印という物が別にあります。
(まだ続く)